日本
モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート
2021年5月
Opensignalはユーザーの方々のモバイル・ネットワーク・ユーザー体感を分析する独立したグローバル・スタンダードを有しています。弊社の商業レポートはモバイル・ネットワークにおいてユーザーの方々が実際に体感している経験を理解する為の決定的な指標となるでしょう。
Opensignalはユーザーの方々のモバイル・ネットワーク・ユーザー体感を分析する独立したグローバル・スタンダードを有しています。弊社の商業レポートはモバイル・ネットワークにおいてユーザーの方々が実際に体感している経験を理解する為の決定的な指標となるでしょう。
SoftBankが前回レポートの79.1 (100点満点中) から上がって80ポイントのスコアで受賞しましたが、楽天とNTTドコモの両方のユーザー・エクスペリエンスが大幅に向上しました。今回楽天ユーザーはビデオ・エクスペリエンスが64.9ポイントから68.7に、NTTドコモが77.2ポイントから78.8に向上しました。オペレーター大手3社 (au、NTTドコモ、SoftBank) では、いずれも「優秀」と評価されるエクスペリエンスをユーザーが享受し、その一方で楽天は「非常によい」の評価となっています。
SoftBankのスコア82.7は現在、競合他社を3ポイント以上リードしていますが、Opensignalの前回のレポートではSoftBankとNTTドコモの差は0.3ポイントとかなり小さいのものでした。楽天は今回79.1ポイントで、au (78.8ポイント) とNTTドコモ (79.4ポイント) との差が縮まりました。前回はそれぞれ1.5点、2.8点差でした。ゲーム・エクスペリエンスは、携帯電話接続でリアルタイムのマルチプレイヤー・モバイル・ゲームプレイ時のエクスペリエンスを数値化したものです。
楽天は100点満点中83.1ポイントのスコアで音声アプリ・エクスペリエンス・アワードを獲得しました。前回受賞のSoftBankは82.7ポイントでした。しかしNTTドコモが81.7ポイント、auが81.8ポイントを記録したことで、4オペレーター間のスコアにはほとんど差がありません。Opensignalの音声アプリ・エクスペリエンスでは、オーバー・ザ・トップ (OTT) 音声サービスの品質を測定します。例えば、リアルタイムの音声チャット用にLINE、WhatsApp、Skype、Facebook Messengerなどのモバイル・アプリを使用します。
NTTドコモは、auの49.1Mbps、SoftBankの42.1Mbps、楽天の20.7Mbpsを抑えて、Opensignalのダウンロード・スピード・エクスペリエンス・アワードを再度受賞しました。この順位はOpensignalの前回のレポートと変わりませんが、NTTドコモのユーザーは52.3Mbpsから54.5Mbpsへと速度が向上しています。他3社のユーザーでは、ダウンロード・スピード・エクスペリエンスに統計上の有意な変化は見られませんでした。
楽天が2位のNTTドコモ9.9Mbpsを抑え11.6Mbpsでアップロード・スピード・エクスペリエンス・アワードを受賞。特別なダウンロード・スピード・エクスペリエンス・アワードの受賞者は、とりわけモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスのさまざまな面の検討が重要な理由を示していることに私たちは注目しています。ダウンロード・スピードは、新しいアプリの取得やオフィス文書の取得に重要ですが、アップロード・スピードは、ソーシャル・メディアやメッセージ・アプリでの写真やビデオ・アップロード時の重要な評価基準です。他のアワードと同様、4Gと5G両方の評価がアップロード・スピード・エクスペリエンス・アワードに貢献しています。
auのユーザーは、他オペレーターのユーザーより長時間4Gサービスにアクセスできます。4G 利用率 (4Gに接続された時間) は、5Gの世界ではもはや重要ではないように思われますが、ほとんどの5Gサービスの運用に4Gへの接続が必要なため、4Gサービスの幅広い利用率は、非スタンドアロンのアクセスを使う5Gの重要な基盤です。auは99.7%のスコアでアワードを獲得していますが、日本のすべての4オペレーターは、100%の満点スコアに近い非常に高い4G 利用率スコアを獲得しています。
モバイル・ネットワーク・エクスペリエンスは、大手3オペレーターと新参の楽天間の非常におもしろいコンテストです。このレポートは楽天を含めた日本のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスレポートの第2弾に過ぎません。
また、日本の全オペレーターは近年のグローバルな舞台で比較しても遜色がありません。Opensignalのグローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2021 では、次のことが確認できました。
日本のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスに関する最新レポートでは、4オペレーターすべてが、日本のモバイル市場の競争力を証明するOpensignalアワードを1つ以上受賞しています。私たちのレポートは、2020年12月1日から2021年2月28日までの90日間に4Gと5Gの両方のネットワーク・テクノロジーで得られた実際の評価に基づいています。
このドキュメントは、英語版の翻訳版です。 正確な翻訳を保証するためにあらゆる努力が払われてい ますが、英語版との間に不一致がある場合は、英語版が優先されます。
モバイル・ネットワーク・ユーザー・エクスペリエンス・アワード 日本 | ||||
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2021年5月, 日本レポート |
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ビデオ・エクスペリエンス
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ゲーム・エクスペリエンス
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音声アプリ・エクスペリエンス
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ダウンロード・スピード・エクスペリエンス
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アップロード・スピード・エクスペリエンス
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4G利用率
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モバイル・ネットワーク・ユーザー体感受賞者 |
2021年5月,
日本
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日本の3つのオペレーターのネットワークでは、au、NTTドコモ、SoftBankのすべてが100点満点中75ポイント以上のスコアを獲得しているため、私たちのユーザーは優れたモバイル・ビデオ・エクスペリエンスを享受しました。楽天は6か月前の前回のレポートの64.9から、今回のレポートでは68.7にスコアが上がり、「非常によい」の評価 (65 < 75) に入りました。SoftBankは、これまでの79.1ポイントからわずかに上がり、80ポイントとなり、Opensignalビデオ・エクスペリエンス・アワードを再び受賞しました。
優れたビデオ・エクスペリエンスとは、すべてのユーザー、ビデオ・ストリーミング・プロバイダおよびテストされた解像度で一貫性のあるエクスペリエンスが提供され、読み込み時間が短くストーリングがほとんどないことを指します。「非常によい」の評価は通常、読み込み時間が短く、ときたま停止するのみで済んだことを示していますが、ビデオ・プロバイダや解像度が異なるユーザー間では体感に多少ばらつきのある可能性があります。
Opensignalのビデオ・エクスペリエンスは、国際電気通信連合 (ITU) ベースのアプローチで、オペレーターのネットワーク上で実際のビデオ・ストリームを測定してモバイル・デバイスにストリーミングされるビデオの品質を定量化します。このスコアは、画像品質、ビデオ読み込み時間、ビデオ解像度のさまざまな失速率など、実際のモバイル・ビデオ・ストリームの技術的評価に基づき、ユーザーが体感したビデオ・エクスペリエンスを反映しています。
モバイル・マルチプレイヤー・ゲームは、オペレーターがユーザーへの配信時に最も実力を要するエクスペリエンスのひとつです。5Gにより通信オペレーターは、モバイル・ネットワークの応答性を向上させる5Gのバージョンが今後登場したときに、モバイル・ゲーム・エクスペリエンスを大幅に向上させようと考えています。
現在のところほとんどのユーザーが4Gサービスを利用し続けている中、SoftBankはOpensignalゲーム・エクスペリエンス・アワードを再度受賞しました。100点満点中82.7ポイントというSoftBankのスコアは「非常によい」の評価となりました。全体を通してゲーム・プレイの操作が可能で、ネットワークの問題解決のためにコンピュータを制御する必要がなく、ユーザーのゲームのアクションはすぐ結果に反映しました。ほとんどのユーザーがアクションとゲーム応答間の遅延を感じませんでした。
ゲーム・エクスペリエンスは、世界中のサーバーに接続されたモバイル・デバイスでリアルタイムのマルチプレイヤー・モバイル・ゲームプレイの際の体感を数値化したものです。このアプローチは、実際のモバイル・ユーザーから報告された通り、技術的なネットワーク・パラメータとゲーム・エクスペリエンスの関係を定量化する数年にわたる調査に基づいて構築されています。これらのパラメータには、遅延 (ラウンド・トリップ時間)、ジッター (遅延のばらつき)、およびパケット損失 (宛先に到達しないデータ・パケットの割合) が含まれます。さらに、マルチプレイヤー・モバイル・ゲームの複数のジャンルを考慮し、ネットワークの状況に対する平均感度を測定します。テストされたゲームには、バトル・ロイヤル、スポーツ、マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ (MOBA) ゲームで人気のある複数のリアルタイム・マルチプレイヤー・モバイル・ゲームが含まれます。これらのジャンルのゲーム例には伝説対決、フォートナイト、フリーファイア、荒野行動およびプロ・エボリューション・サッカーが入っています。
楽天は接戦での僅差で、100点満点中83.1のスコアをつけ音声アプリ・エクスペリエンス・アワードを獲得しました。前回優勝のSoftBankは82.7ポイントで2位でした。しかしauとNTTドコモのスコアはそれぞれ81.8と81.7とわずかに低くなっています。4オペレーターすべてのユーザーが、よい音声アプリ・エクスペリエンスを享受しました。
Opensignalの音声アプリ・エクスペリエンスでは、オーバー・ザ・トップ (OTT) 音声サービスの品質を測定します。例えば、LINE、WhatsApp、Skype、Facebook Messengerなどのモバイル・アプリを使用します。国際電気通信連合 (ITU) ベースのアプローチ由来のモデルで全体的な音声通話品質および一連の調整された技術パラメータを定量化するのです。このモデルは、技術的測定値と知覚された通話品質との正確な関係を明らかにします。
auの49.1MbpsとSoftBankの42.1Mbpsに差をつけて、NTTドコモは54.5Mbpsでダウンロード・スピード・エクスペリエンス・アワードを受賞しました。NTTドコモのユーザーは平均ダウンロード・スピードが最も速い一方で、NTTドコモはモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスのすべての部分を測定することの重要性を示すこのレポートで、他のOpensignalアワードをひとつも受賞していません。とりわけ、ゲームとビデオ・エクスペリエンスの両方で受賞したSoftBankは、ダウンロード・スピード・エクスペリエンスで3位に入賞しています。
楽天は他部門でも健闘していますが、ダウンロード・スピード・エクスペリエンスでは、NTTドコモの優勝スコアの半分以下である20.7Mbpsで4位に留まっています。その一部の理由は、楽天で利用できる4Gスペクトラムの限られた量 と、日本国内での5G普及率が比較的低いためです。5Gの速度測定はダウンロード・スピード・エクスペリエンスの全体的なスコアに寄与しますが、ユーザーとテストの大半は4Gを使い続けているため、楽天の比較的強力な5Gスペクトルの保有資産はこれらの結果に大きな影響を与えませんでした。日本の全オペレーターで5Gの普及が進んでいる中、このアワードは日本のオペレーターの立場が最新のモバイル・ネットワーク・テクノロジーへの移行によって変化しているかどうかを確認するために重要です。
楽天がアップロード・スピード・エクスペリエンス・アワードを受賞したのは、NTTドコモ (2位) の9.9Mbpsより11.6Mbps高いスコアで受賞したOpensignalレポート第2弾のみでした。前回のレポートではSoftBankが2位でしたが、9.3Mbpsの速度で3位に順位を落としました。ダウンロード・スピード・エクスペリエンスで2位入賞にもかかわらず、auはアップロード・スピード・エクスペリエンスでは8.3Mbpsのスコアで4位にとどまりました。
4G 利用率は4オペレーターすべてで非常によいものとなっています。4G 利用率とは、ユーザーが4Gサービスに接続できる時間を意味します。4G 利用率アワードを受賞したauは、100点に0.3ポイント届かないスコアとなっています。他のオペレーターも楽天ユーザーの4G利用率が98.7%、NTTドコモが99%、SoftBankが98%と100点満点に近いです。
5Gは日本で導入されていますが、オペレーターは5G規格と非スタンドアロン・アクセス (NSA) の初期バージョンを使っています。つまり、5Gスマートフォンのユーザーが5Gネットワークに接続するには、4G接続にも同時に接続する必要があるのです。そのため現在、日本の広い4G 利用率は、4Gユーザーのサポートと同様5Gサービスにとっても不可欠かつ価値ある基盤となっています。日本のオペレーターがスタンドアロン・アクセス (SA) で5Gサービスを開始すると、5Gユーザーは5G接続時に4Gの電波を必要としなくなります。しかし、これまでにSAを開始したオペレーターはほぼいません。
日本の8地方では、僅差の争いが繰り広げられています。48の地方アワードのうち46%が順位を共有し、54%が単一のオペレーターによる完全勝利です。一部の部門は、単一のオペレーターが占めていますが、多くの共同受賞者がいる部門も多くあります。
NTTドコモは地域的に国内での成功を繰り返し、8地方でのダウンロード・スピード・エクスペリエンス・アワードをすべて受賞しています。楽天ユーザーではかなりの地域間差が見られ、関東地方の最高平均速度25.8 Mbpsは、中国地方の平均速度である9.8 Mbpsの2.5倍以上でした。この広い差異は楽天のネットワーク展開状況を反映しています。楽天のネットワークが普及している地域、または楽天が5MHzだけでなく1800MHz LTE帯域の20MHzを展開できた地域では、楽天ユーザーはよりよい体感を得られました。
SoftBankは地方ビデオ・エクスペリエンス・アワードの75%を受賞し、残りのアワードを共同受賞しました。九州では、SoftBankとNTTドコモが共同受賞し、四国ではauとNTTドコモが共同受賞しました。一方ゲーム・エクスペリエンスでは、SoftBankが中部、関東、近畿の3地方のみを単独で受賞しましたが、残りの地方は共同受賞でした。
最も変化が見られたのは、アップロード・スピード・エクスペリエンスでした。他すべての地域部門では、少なくとも1オペレーターがすべてのアワードを獲得または共同で受賞していますが、アップロード・スピード・エクスペリエンスでは、主な受賞オペレーターはいませんでした。楽天は、関東と近畿2地方のアップロード・スピード・エクスペリエンス・アワードを受賞しましたが、他地方では他のオペレーターが地方アワードを受賞しました。NTTドコモは北海道アップロード・スピード・エクスペリエンス・アワードを受賞しましたが、その他の地域では、au、NTTドコモ、SoftBankが共同で受賞しました。繰り返しになりますが、この地域的な違いは、楽天がこれまでに独自の無線ネットワークを構築してきた場所を反映しています。
4G 利用率については、auは地域アワードを6つ獲得し、国内での地域的な成功を繰り返し達成しました。楽天ユーザーは、まだ自社の無線ネットワークを構築していない地域でauのネットワークにローミングしていることから、中国と四国で開催されている残りの4地域4G 利用率アワードを楽天とauが共同で獲得したのは驚くことではありません。
個々の内訳を示すためには下記地域を選択してください