Opensignalは実世界のネットワーク・エクスペリエンスの測定分野でイノベーションの最前線を走り続けて来ました。まず利⽤率 (ユーザーが所定のネットワーク技術に接続可能な時間の割合)、次にビデオ・エクスペリエンスとゲーム・エクスペリエンスを導入したことで、実際のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスをさらに深く掘り下げることができるようになりました。ここではネットワーク接続の品質をユーザーが定量化するのに役立つ、先駆的なメトリック(指標)をもう1つご紹介します。コア・コンシステント・クオリティ(中核となる一貫した品質)とエクセレント・コンシステント・クオリティ(一貫した素晴らしい品質)です。
これら2つのメトリック(指標)を用いる理由
Opensignalのコンシステント・クオリティ・メトリックは、ユーザーがネットワーク・ヘルスに関する非常に重要視する疑問「必要時にモバイル・サービスでアプリが機能するかどうか?」への回答提供を目指しています。一般的なアプリよりもはるかに多くの回線容量を必要とするアプリは確実に存在します。ビデオ・ストリーミングやビデオ会議で求められるネットワーク接続要件は、電子メールやウェブの閲覧よりも厳しいものとなります。
そこで品質の一貫性を判断するため、評価メトリックを2つ作成しました。コア・コンシステント・クオリティ(中核となる一貫した品質)とエクセレント・コンシステント・クオリティ(一貫した素晴らしい品質)です。どちらも同じ主要パフォーマンス・メトリックに基づいていますが、それぞれに関連付けられたネットワーク・エクスペリエンスの満足度における基準値が異なります。
コンシステント・クオリティ(一貫した品質)の評価方法
Opensignalでは6つの主要パフォーマンス・メトリック(ダウンロード・スピード、アップロード・スピード、遅延、ジッター、パケットロス、 最初の1バイトを受信するまでの時間 (TTFB)) を設定しました。次に、コア・コンシステント・クオリティとエクセレント・コンシステント・クオリティの各基準値以上となるテストの割合を判断します。
コア・コンシステント・クオリティは、標準画質のビデオ・ストリーミング、ウェブ閲覧、電子メールの使用、写真共有など、エクセレント・コンシステント・クオリティよりもよく使われている一方、それほど要求の厳しくないユースケース向けに設計しています。
エクセレント・コンシステント・クオリティの基準値は、NetflixやSkypeなどのサービス、またYouTubeやビデオゲームなどのライブストリーミング・サービスで推奨されている最新のネットワーク・パフォーマンス値を基に設計されています。
これらのメトリックはいずれも、推奨される最小パフォーマンスの基準値を満たしたユーザー・テストの割合に変換してレポートに掲載しました。接続がアプリの使用をサポートする一般的な用途でデバイスを使用する機会の割合として、ユーザーはこれらのメトリックを読み取れるのです。
用語解説
ダウンロード・スピードとアップロード・スピード
ダウンロードおよびアップロード・スピードはネットワーク・エクスペリエンスにおいて常に重要な要素です。コア・コンシステント・クオリティの基準値である1.5 Mbpsは、ストリーミング標準画質ビデオに基づいていますが、人気のあるストリーミング・サービスでHDビデオをストリーミングするには、5 Mbpsのダウンロード速度で十分です。1.5 Mbpsのエクセレント・コンシステント・クオリティ・アップロード・スピードの基準値では、ユーザーによるビデオチャットの実行、画像やビデオのSnapchatへのアップロード、大容量ファイルを添付した電子メールを顕著な遅延なく送信できます。
遅延
回線容量が基準値に達したときにユーザー・エクスペリエンスの最大の分かれ目となるのが遅延です。50 msの基準値は、フォートナイトのようなオンラインゲームや音声アプリ通話、ビデオ通話に十分な速度です。ダウンロード・スピードが速いほど、低遅延はウェブページの読み込み時間における最も重要な要素となります。コア・クオリティ評価に100 msの遅延基準値を採用すると、接続が引き続き可能なのは確実ですが、そのユーザー側はパフォーマンスの違いに気付きます。
ジッター
ジッターは遅延の変動スケールであり、音声アプリ通話やビデオ通話などのリアルタイム・サービスの品質に大きな影響を与えます。平均遅延時間が短ければよいのですが、パケット遅延が25 ms~75 ms間において一定の間隔で上下すると、ユーザーはビデオ・アーティファクトやカクつきを経験することになりエクスペリエンスが低下します。12 ms未満のエクセレント・クオリティ・ジッター基準値であれば、オペレーターは低平均ではない、一貫した低遅延を達成できます。
パケットロス
パケットロスは、送信先に正常に届かなかったデータパケット率を評価します。パケットが消滅すると音声や映像が不安定となりビデオ通話に最も大きな影響を与えますが、高確率でウェブ閲覧やデータ・ダウンロード・スピードが著しく低下することもあります。要求の厳しいユースケースでは、パケットロス率が高いほど耐性が低下します。これは、エクセレント・クオリティ測定においてパケットロスの基準値が低いことを明らかにしています。
最初の1バイトを受信するまでの時間 (TTFB)
TTFBとは、接続確立までの所要時間です。このKPIを追加することで、ユーザーがサービスに接続しようとした瞬間からユーザーのエクスペリエンスを完全に説明できるのです。これは接続確立後の通信速度が速い場合でも、初期接続時間が遅ければダウンロード・エクスペリエンスも低速に感じるためです。TTFBの基準値は、コンシステント・クオリティの各階層に必要なダウンロード・スピードに合わせて設定されます。
基準値は不変か?
もちろんそうではありません。消費者性向が変化しアプリの性能が上がるにつれ、十分なネットワーク接続の定義における構成要素も変化していきます。Opensignalは、よく使われているアプリのネットワーク要件の監視を続けると同時に、エンドユーザーのモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスの評価で業界エキスパートと協働しています。その結果、コンシステント・クオリティに採用されている基準値はモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを正確に表現するために改訂される可能性があります。
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