なぜ楽天のモバイル・エクスペリエンスが日本又は世界への課題となり得るのか

楽天は日本における新たなチャレンジャーとして、NTTドコモやKDDIのau、ソフトバンクの競合として、4月8日にその事業を開始させた。楽天は挑戦的な価格帯を設定している。そこには顧客が自社の無線ネットワークを使用する場合には、無制限データを提供するという「無制限プラン」も含まれている。楽天がまだ自社のネットワークを構築できておらず、KDDIのネットワークに依存しているような地域でのローミングにおいては5GBの上限を設けるものである。 

楽天のCTOであるタレック・アミン(Tareq Amin)は、楽天のネットワーク・テクノロジーを世界中のモバイル業界にアプローチするマーケティング戦略をとっている。このテクノロジーとは革新的な珍しいベンダーを組み合わせた新しいネットワークアーキテクチャに焦点を当てている。多くの現存ネットワークとは異なり、ネットワーク全体において、または基地局内でOpenRANを採用し、仮想化の広範な使用とコンテナ化を目的としているのだ。つまり、楽天は通信事業者としてだけでなく、テレコム・サプライヤーともなり得るという事である。以前、楽天は顧客により良い接続性を提供するため、他の通信事業者ネットワークを専用に使用するモバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレータ(MVNO)として事業を行っていたが、今では無線周波数を獲得した自身のネットワークを構築しているのである。

始めにOpensignalは楽天のユーザーにおけるモバイル・エクスペリエンスについて6つの視点から分析を行った。弊社が作成している最新の日本におけるモバイルネットワーク・エクスペリエンス報告書に楽天の事業開始について記載できなかった所以は、その事業開始時期が遅すぎたためである。

 

新しい事業者にしては珍しく、楽天のユーザーは現存の通信事業者3社と比較してもかなり高速なアップロード速度を体感している事がわかる。12.1 Mbps の速度は33%も速く、この事からも楽天が市場において写真やビデオを共有したり、ソーシャルメディアの使用に対する利点を有しており、若い世代やより都市部に住むユーザーにとって魅力的なものとなることが推測できる。

楽天のユーザーにおけるゲームやボイス・アプリのエクスペリエンスに関しては、日本の現存3社と似たような結果である。またユーザーが4Gに接続している時間-つまり4G有効性-についても、ほぼ同一である。

ビデオやダウンロード速度のエクスペリエンスについては、auやドコモ、ソフトバンクと比較すると46.9%も遅いダウンロード速度と、良くない結果となっている。ビデオ・エクスペリエンスについて、楽天のユーザーは66.5点のスコアをつけており、「とても良い」分類である通信事業者と考えられるが、他事業者については78.3点であり「素晴らしい」分類とされている。

 

当初、楽天は最初のネットワークを東京、名古屋、大阪の三都市に絞っていた。そこでは楽天自身のネットワーク環境は未だ整っておらず、楽天のユーザーはKDDIのネットワークを使用していた。通常、このような取り決めは事業者における費用増加につながり、楽天ユーザーがローミングを行う際に低めのデータ制限がかかってしまう事もこれに起因している。

Opensignalの分析によって、国内の楽天ユーザーが楽天自身のネットワーク(45.3%)を使用している時間よりもローミング時間(54.7%)に多く費やしていることが分かる。この時間については各都市によって様々であり、名古屋では95.5%を楽天のネットワークで使用しているが、大阪や東京、埼玉においては80%超に留まる。通常、ユーザーは家のネットワークにおいてより良いモバイル・エクスペリエンスを得ており、また楽天への費用が安いという事は特筆すべき事項である。

ユーザーがKDDIのローミングの代わりに楽天ネットワークに接続している際、ダウンロードとアップロード速度は2倍以上速くなっている。楽天の「オン・ネット」(

楽天ネットワークに接続時)アップロード速度(19.8 Mbps)についても又、auやドコモ、ソフトバンクの平均アップロード速度と比較しても、2倍以上速い結果である。

驚くことに、楽天ユーザーが楽天自身のネットワークを使用している場合のダウンロード速度エクスペリエンスは、現存ネットワークにおけるユーザー・エクスペリエンスにかなり近い数値が出ている。24.8 Mbps の全体平均ダウンロード速度と比較しても、楽天のユーザーは自身のネットワークを使用している際に35.3 Mbpsという速度までアップしているのだ。

これらの高速度は楽天のネットワークが初期段階においても、素晴らしいモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを提供し得る可能性を示唆している。楽天が現存の問題を解決し、ネットワークを日本以外にまでも広げる事が出来た場合、現在の日本の大手通信業者よりも更に競争力の高い事業者となることができるだろう。

しかしOpensignalは楽天の事業開始が開始された後の現存ユーザーへの影響も確認している。4月8日前、楽天は数万人のユーザー間でお試しサービスを行っていた。4月8日の事業開始後、楽天を使用するユーザーが増加したことから、ダウンロードやアップロード、ビデオ・エクスペリエンスにおける速度の降下が見られたが、ゲーム・エクスペリエンスにおいては以前のまま留まった結果であった。新しいネットワークにおいては、より多くのユーザーがネットワークを使用し、より多くのネットワーク・データ・トラフィックが発生することで、ネットワーク・インフラストラクチャへの負担が大きくなるため、このような現象は珍しいものではない。

 

現時点においては、楽天のネットワーク・エクスペリエンスが他の競合他社と比較してより良いものになるかどうかを判断する事は時期尚早である。楽天の新しいネットワーク・テクノロジー・デザインがより多くの顧客に対応し、データ・トラフィックを上昇させるのかについて見極める事についても同様である。更に、楽天はこれから5Gの運用も始める事となっている。楽天のテクノロジー選択の主な推進力は、5G固有のサービスを可能にする事であり、ここでも楽天のネットワーク・アプローチが現存競合他社を超えられるのかどうかを証明できることだろう。

現段階では、楽天のユーザーは現存事業者よりも遅いダウンロード速度を経験しており、ビデオ・エクスペリエンスについては少し悪い程度である一方、ゲームやボイスアプリエクスペリエンスについては似たような結果である。楽天のユーザーはアップロード速度に関しては全体的に速いエクスペリエンスを有している。パートナーのネットワークにおいてローミングをしている時と比較して、楽天自身のネットワークに接続する際、アップロード速度とダウンロード速度はかなり速くなっている。

楽天の消費者マーケティングと業界の誇大宣伝の全てにおける実際のテストを行うことで、楽天が現在、そして将来に提供し得る実際のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを分析することができるだろう。